SEN PRODUCT BLOG

千株式会社のエンジニアによるブログ

チーム力は1cmの歩み寄りと少しばかりの好奇心から

この記事は SEN Product Blog アドベントカレンダー 2024 の8日目の記事です。

はじめに

こんにちは!千株式会社ものづくり部のおはぎです。

私はビジネス向けの開発チームに所属しているエンジニアで、最近は有難いことにチームをリードする機会にも恵まれてきました。

これまでは自分の頭の中にぼんやりとあるイメージを基に行動することが多かったのですが、メンバーやチームに影響を与えるような立場でもある今、このままでは良くないなと。

当然ながらメンバーの意見も尊重することは前提に、そうは言っても自分の考えに芯を持っておかないとリーダーとして心許ないので、今回は私が「どんなチームを目指して、どんなリーダーを志しているのか」を言語化してみようと思います。

どのようなチームを目指すのか

突然ですが、皆さんは仕事を楽しんでいますか?

私がこれまでプライベートで友人や知人に訊いてみた体感としては、回答の背景に傾向があるように感じています。

仕事が楽しい理由

  • 自身にとっての新しい取り組み(挑戦)ができるから
  • 自ら考え、行動する余地があるから(また、そのプロセスが楽しい)
  • 自分の行動が誰かの為になっているから(感謝してもらえるから)

渋々働いている理由

  • 指示されたことをただやってるだけから
  • 作業の背景やそれによって齎される価値が解らないから
  • 理不尽さを感じるから

私の周りに限られた少数意見ではありますが、それでも共感いただける点は少なからずあるのではないかなと想像しています。如何でしょうか?

私個人としては、渋々働く理由は主体的に行動すれば変えられるかもと思う反面、実際なかなか難しい環境(状況)だったり個々の性格もあったりするので理解はできますし、全体的に納得感があります。

ポジティブな側面を中心に考えればやりがいがあって楽しいかもしれませんが、実は暗黙的にそれを下支えしてくれてる方が不満を感じているかも。かと言ってネガティブな側面ばかり気にしていても息が詰まりますよね。

そのため、両方バランスよく向き合っていくことで徐々に一人一人のモチベーションが高まり、それをきっかけとしてチームやその先にとっても良い循環が生まれる形を目指したいと思っています。

理想のチームには何が必要か

では、そんな循環を生むためには何が必要でしょうか。

私は、ネガティブな側面への対処として属人化の解消を、ポジティブな側面への後押しとして個人の強みを活かしてチームをリードできる環境を考えています。

前者はチームとして求められる領域で、各人の苦手分野や未経験のことに対して消極的にならず「最低限はできる、やってみよう」という気持ちに引き上げる。後者はチームとして未知の領域に踏み出し、チームの力を押し広げる役割。そして、この両面さえも循環させ、チームとしてのパフォーマンス・モチベーションを高めていく格好です。 それぞれ掘り下げていきます。

属人化の解消

なぜ属人化が良くないか

渋々働いている理由のように、仕事に対してネガティブになるキーワードは「受動的」「不明瞭さ」「理不尽さ」あたりかなと思います。

象徴的な状況を挙げるなら以下のような。

とあるチームでは毎月行っている定例作業があり、いつもAさんが対応していた。

他のチームメンバーは何をしているか知らないし、暗黙の了解でそのタスクにはAさんをアサインすることになっている。

作業某日、Aさんが急遽体調不良でお休みになり、代わりにBさんが対応することに。

作業内容が不明瞭な中でなんとか健闘するが、その後クライアントから「いつも通りやってくれないと困るよ!」と怒られた。

Bさん「なんで私がこんな目に!理不尽だ!」

フィクションではありますが、近い体験をされた方もいらっしゃるかもしれません。

私がAさんの立場なら「自分ばっかりやるの嫌だな〜」と思うだろうし、Bさんの立場なら「手順書作っておけよ」と。クライアントの立場でも「いつも出来てたのになぜ突然?」と困惑しそうです。誰も幸せじゃないですよね、こんな状況。

これを防ぐ手立てとして「属人化の解消」を検討していきます。

なぜ属人化するのか

当然、ドキュメントがないことは一つの指標になり得ます。その作業や仕組みの背景や目的が記述として残っていないなら、知ってる方に訊ねるしか知る術がありませんから。

しかし、ドキュメントを作ればそれで万事解決でしょうか?ドキュメントに記載されていない例外が発生したら?それとも仕組みの全て書き起こすのでしょうか?変化し続けるプロダクトに対して、常に最新のドキュメントを維持するコストを払い続けられるのでしょうか?

私は「日頃から周りの作業に関心を持っていないこと」が属人化の真の原因じゃないかなと思っています。

そもそも新しいことに取り組む際には主に関わる方へ知見が偏るのが当たり前で、それをそのまま放置するのが属人化だと考えています。

知見があるというのは先陣を切って主体的に動いてくれた証であり、その属人化の解消も先駆者に任せっきりにするのは、それを解決するためのプロセスまでも属人化してますよね。もう少し未知の側からも歩み寄るべきではないでしょうか。

つまり、ドキュメントは先駆者の思いやり。それに頼り切るのではなく、自分ごととして向き合うこと1が属人化を解消する重要な手立ての一つだと考えています。

属人化とどう向き合うか

…とは言っても「知らない側から果敢に挑め!」で突き放すのは野暮ですよね。

そのような行動が得意な人もいれば苦手な人もいます。なので、チームで協力していきましょう。

例えば、上記のフィクションだとそれぞれに歩み寄る余地があります。

  • Aさん:ドキュメントを作ったり、情報の共有を日頃から心がける
  • Bさん:Aさんの作業に関心を持ち、積極的に関わっていく(こっそりissueやPRを見たり、簡単な質問してみるのも大事な一歩!)
  • リーダー(プランナー):Aさんだけにアサインするのではなく、他のメンバーにも挑戦する機会を提供する
  • 全員:属人化していることを課題として挙げ、改善に向けた議論を始める

先述の通り、解決のフローを決め切ってしまうのも属人化です。

様々な状況下で余力がない場面は誰しもありますので、型に嵌めすぎるとそれがボトルネックになる懸念があります。

気づいた人が課題を挙げ、手を挙げれば取り組める。成し遂げれば賞賛/感謝されるし、困ったら仲間がフォローしてくれる。そして、心理的にも物理(タスク量)的にも、それが当たり前にできる環境と関係性があり、元々得意でなかった方も巻き込まれて馴染んでいく。

このようにして課題と向き合えるようになると、チーム内で出来ない/解らないことの差が縮まっていき、人に依存しない安定感が増していくと考えています。

全員がそれぞれの強みを活かしてチームをリードする

作業を平均化するような話の後で真逆なことを言うようですが、他の誰もやってないことに挑戦して尖っていくことも大切だと考えています。

各人の個性が多方面に広がり、それが集約されてチームの強みになると理想だなと。更にそれが本人のモチベーションなら尚良しですね。

例えば、うちのチームではインフラ周りの作業をSREチームに頼りがちでしたが、現在は自チームで管理していく方針に変わりつつあります。

これは全社的な動きや他チームの実績に因るところもあるのですが、そうは言っても、チーム内でインフラに明るいエンジニアが先導し、議論を重ね、対応に向き合ってくださっている状況。アプリケーション側の開発を主に担当してきた我々チームにとって良い刺激になっています。

今はその方に属人化していますが、他のメンバーもすぐにキャッチアップしよう!というモチベーションに繋がっており、チームに新たな風が吹いています。

このように、チームが成長する際にはいつも誰かの先導がきっかけになっているはず。勿論、その先導をリーダーが担うのも一つの形ですが、私は誰でも先導できる環境の方が好みです。

何故なら、失敗を恐れず挑戦していくのが千の文化2ですし、全ての領域でリーダーが勝るなんてことはなく、その時々で得意な方や関心の強い方が取り組んだ方が良い結果を齎すと考えているからです。3

このようにメンバー全員が各自の得意分野でチームを先導できると、チーム内で出来ることが増え、チームの強みが増していくと考えています。

どのようなリーダーを目指すのか

では、このようなチームを作り上げ、率いていくためには、どのようなリーダーを目指すべきでしょうか。

エンジニアのためのマネジメントキャリアパスという書籍では、優秀なテックリードの特質として次の4つが紹介されています。

  • アーキテクチャを把握している
  • チームプレイの大切さを心得ている
  • 技術的な意思決定を主導する
  • コミュニケーションの達人である

全て大切なのは当然として、これまで考えてきたチーム像を前提とすると、私は特に「コミュニケーションの達人である」に強みを持ちたいと思いました。

この観点は、自分自身の生産性よりもチーム全体の生産性を重視すること、チームのためのコミュニケーションについて書かれています。

まさに私の掲げるチーム像は個の力をチームの力に転化させていくようなものなので、そこに注力していきたいです。

文章力、読解力、傾聴力、弁舌力に長けており、個ではなくチームの生産性に寄与。チームの課題感やモチベーションに敏感になり、改善/向上の循環を積極的に引き起こす。これが私のリーダー像です。

おわりに

今回は私が掲げるチーム像、リーダー像を言語化してみました。

私個人としては改めて自身の思考を整理する良い機会になりましたし、執筆しながら「これ自分も出来てないなぁ」と反省したり、「まだ煮え切ってないなぁ」と課題が見つかったり。まだまだこれからだと自戒の連続でした。

このイメージに向けて具体的にどんな行動をとる(とっている)のか等、まだまだ表現すべきこともたくさんありますが、それはまたの機会に…

チームやリーダー像に限った話ではなく、自身のキャリアビジョンや直近の目標でも何でも構いません。「なんとなくイメージはあるが具体的には…」という方にとって、それらを考えてイキイキと活動できる、そんなきっかけになれば幸いです。

明日はものづくり部・んださんの「Reducer投資からAccelarator投資へ!毎日の朝会を投資とリターンで考えてみる」です!


  1. 弊社の行動指針() Be an Owner / 当事者であれ に関連します。
  2. 弊社の行動指針(参考) Aim for Greatness / 大胆に挑め に関連します。
  3. 勿論、リーダーが何も先導しなくて良いということではなく、リーダーはリーダーの得意領域で存在感を放っている前提での話です。