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千株式会社のエンジニアによるブログ

Reducer投資とAccelarator投資。その取り組み、本当に続けるべき?デイリーミーティングを投資視点で考えてみる

昨日は、おはぎさんの「チーム力は1cmの歩み寄りと少しばかりの好奇心から」でした!

こんにちは、ものづくり部ICTチームの、んだです。好きな銘柄はキリンラガーで、2児の父です。

2024年の7月から山形県からフルリモートで働いています。

さて、今回は「Reducer投資とAccelarator投資。その取り組み、本当に続けるべき?デイリーミーティングを投資の視点で考えてみる」というテーマでお届けします。

その取り組み、本当に続けるべき?

チームや会社で行っている勉強会や朝会、チームビルディングなどの取り組み。始めたきっかけや狙いがあったはずですが、「このまま続けるべきか」「もっと強化したほうがいいのか」など、見直すタイミングってよくありますよね。

そんなときのヒントになるのが、「Reducer投資」と「Accelerator投資」という視点です。ICTチームでは、「Reducer投資」と「Accelerator投資」という2つの観点を取り入れてデイリーミーティングを見直しました。

この記事では、私たちICTチームの取り組みを例に、「Reducer投資」と「Accelerator投資」という観点から、デイリーミーティングを見直してみたお話をお届けします!

デイリーミーティングって何してますか?

私が所属するICTチームでは、毎朝11:30-12:00で朝会をしています。

みなさんの所属する会社やチームでも、デイリーミーティングや日次定例を行っていると思いますが...朝会って何してますか??

進捗共有やタスクの相談、雑談などなどさまざまかと思いますが、ICTチームでは進捗共有などの他に

ユビキタス言語作文

というコーナーを設けて取り組んでいました(過去形

What is ユビキタス言語作文?

ユビキタス言語という言葉自体は、すでに耳にしたことがあったり、実践している方も多いかもしれません。

しかし、「ユビキタス言語作文」となると、みなさんお初でしょう。

それもそのはず、「ユビキタス言語作文」は、チームのオリジナルのワークショップだからです。

ユビキタス言語作文って実際何するの?

ユビキタス言語作文とは何をするか?ですが...やることは非常にシンプルで「ユビキタス言語だけを使って文章をつくってみる」だけです。

speakerdeck.com

ユビキタス言語作文の実際の運用方法などは、Slideに掲載しているので覗いてみてください!

ユビキタス言語作文をはじめた理由

次にユビキタス言語作文を始めた理由についてお話しします。これは、チームのメンバー構成が大きく起因しています。

フレッシュなメンバー構成

ユビキタス言語作文を始めた理由の一つは、チームのメンバー構成にあります。

私自身、今年の7月に入社したばかりで、チーム歴はまだ半年です。他のメンバーも、プロダクトマネージャーを除けば最長でも1年ほど。つまり、私たちのチームは非常にフレッシュな状態でした。

新しいメンバーが多い分、どんどんチャレンジできる、改善できるところがたくさんあり楽しいですが、ただその一方で、幼保業界の知識やシステムへの理解をもっと充実させたいという課題感もありました(ちなみに一番理解していないのはわたくし。)

こうした課題を解消するために、定期的な勉強会の開催も検討しましたが、勉強会は準備や進行に時間と労力がかかるため、なかなか続けるのが難しいことが多いですよね。

そこで、もっと気軽に取り組めて、日々の業務の中で自然に知識を深められる方法として

  • 普段の朝会の中でできる=可処分時間を減らさない
  • 準備が不要
  • メンバー全員が気軽に参加できる
  • 単なる言葉の意味だけではなく実際に使うシーンが想像できる

という観点からユビキタス言語作文をはじめたという感じでした。

Reducer投資は?

さて、ここからが本題で、いよいよ「Reducer投資」と「Accelerator投資」の話に突入です。

ユビキタス言語作文を続けていてしばらくした後の出来事ですが...1on1の中で弊チームのプロダクトオーナーから

『CTOの頭の中:技術投資を最適化する』

という記事を紹介されました。

Gross Productivity

この記事では、エンジニアリング活動を「投資」として捉え、その最適化を考える際に、「P/L(損益計算書)」「B/S(貸借対照表)」、そして「G/P(総生産力)」という3つの概念が登場します。
G/Pとは、Gross Productivityの略で、エンジニアチームの総生産力のことです。
G/Pは、イメージとしては「水道管の太さ」に例えられます。太い水道管は単位時間あたりに多くの水を流せるように、G/Pが高いチームは限られた時間やコストで多くの価値を生み出すことができます。

Reducer投資

この「流量」を高めるために重要な投資の一つがReducer投資です。Reducer投資とは「開発の阻害要因を取り除く活動」を指します。

最初はむっかしくて何言っているかパッパラー河合だったのですが、読み解いていくとどうやら、ユビキタス言語作文はReducer投資であることがわかりました。

Reducer投資としてのユビキタス言語作文

ユビキタス言語作文に絡めると、ユビキタス言語を浸透させることで認知負荷を減らし、開発を阻害する要因を軽減することで、エンジニアチームの総生産力をあげていくという感じですね。

何かの取り組みを投資的な観点で考えることがなかったのでこの視点はとても新鮮でしたし、この視点なくして新規の取り組みを考えたらあかんなとも思いました。

ユビキタス言語作文を半年やってReducer投資は回収できたか?

半年やってみて

半年間取り組んでみて、「ユビキタス言語作文」はReducer投資として一定の成果を上げられたと感じています。

毎週ユビキタス言語に触れることで、チーム内の認識のズレを共有・修正する機会が増え、少しずつドメインや幼保業界に対する理解が深まっていきました。
日々の議論や作業で「これってどういう意味だっけ?」と立ち止まることが減り、認知負荷が軽くなったことで、スムーズなコミュニケーションが可能になったと思います。

もちろん、まだまだな部分もありますが、ベースラインの認識共有はできたのでは?と感じるようになりました。

投資の視点で考える

さて、投資の視点で考えてみると、さらに取り組みを続けた結果、リターンが増えていくか?を考える必要があるかと思います。

その視点が考えてみると、続けることで確かに認知負荷が下がるなどの何かしらリターンがあるかもしれないが、そこまでリターンが大きくなるとは思えないかなと感じました。

なので、7月から半年間やってきたユビキタス言語作文を12月でやめました。

要望を噛み締める会とAccelarator投資

さて、ユビキタス言語作文をやめて空いた時間に何を始めたか?ですが、12月から始めたのが、要望を噛み締める会です。

要望を噛み締める会とは、施設様・保護者様からからいただいたシステムへの要望について、

  • 要望に共感するポイントを語り合う
  • 要望が出てくる背景や使用するシュチュエーションを想像
  • 叶えるとしたらどういう方法があるか?を話す

というワークショップで、これまた弊ICTチームのデザイナーの方が考案したオリジナルなものです。

Accelarator投資

さて、ここで出てきた「Accelerator投資」という言葉について少し説明します。

記事によれば、Accelerator投資とは、「チームやプロダクトの生産性を向上させるための取り組み」を指します。
具体的には、新しいアイデアを生み出す仕組みや、チームがより良いアウトプットを出せるよう支援するような活動が該当します。

この視点で考えると、「要望を噛み締める会」はまさにAccelerator投資です。
施設様や保護者様の声を深く理解し、背景や使用シチュエーションをチーム全体で共有することで、単なる要望の「実装」ではなく、より適切で価値の高いプロダクトの検討が可能になります。

Reducer投資からAccelerator投資へ

半年間続けた「ユビキタス言語作文」を通じて、開発や議論の際に「言葉の意味を確認する」という無駄なコミュニケーションが減り、認知負荷が下がったと感じています。

共通基盤としての「言葉」が整い、コミュニケーションが効率化された状態は、次のステップであるAccelerator投資を始めるのに最適なタイミングかなと感じています。

「要望を噛み締める会」を通じて、施設様や保護者様の声にしっかりと向き合いながら、チームとしてさらに高みを目指せるのではないかとワクドキです。

おわりに

取り組みを「本当に続けるべきか?」って迷いますよね、、!
何が正解なのか、続けることがチームにとって本当にプラスなのか。それを判断するのは簡単ではありませんし、今の取り組みをやめる決断をするのも難しいですよね。

ただ、「Reducer投資」と「Accelerator投資」という視点で考えると、少し整理がつくかもと感じています。今のチームに何が足りていないのか、どちらに注力すべきなのかを意識することで、少しずつ方向性が見えてくるかもです

私たちICTチームでも、試行錯誤を繰り返しながら、より良いデイリーミーティングを目指して改善を続けています。この記事が、みなさんのチームの取り組みを見直す一つのきっかけになれば、とても嬉しいです。