
はじめに
こんにちは。エンジニアのたにおり(@tanioris)です。
この記事はSEN Advent Calendar 2025 の10日目です
弊社では社内勉強会が活発です。私もこの1年間、他の方と一緒に社内勉強会の立ち上げや廃止に携わってきました。本記事では、その中で開催していた「10分勉強会」と「しちょしちょ会」という2つの社内勉強会についてお話しし、振り返りを書かせていただきます。
10分勉強会(偏愛を語る会)
感じていた課題
入社してから数か月経ったタイミングで、主観的ではありますが、開発組織の中で以下のような課題を感じていました。
- 歴史の長いプロダクトということもあり、特定の方しか知らないツールや技術的な背景がある一方で、ドキュメントがあまり存在していなかった
- 「昔こういうことがあって...」という話題をちらほら聞く機会があり、それはそれで楽しかったのですが、知識として残していくにはどうしたらいいかを考えていた
- 普段の仕事に追われていて、業務で新しいことへのキャッチアップの時間がとりづらそうに見えていた
- 社内で技術的にワイワイしている様子があまりなかった
- クローズドで会話している様子はあったのですが、全体として盛り上がっていく雰囲気を作っていきたかった
どうしようかと考えていたときに、10分勉強会の記事を目にしました。
別の会社ではありますが10分勉強会自体は以前在籍させていただいていた会社でも実施されており、上記の課題を解決しうる一案になりそうだと考えました。そこで自社に合わせた10分勉強会の準備を始めました。
準備にあたっては記事を参考にさせていただき、大まかにグランドルールを定めました。ただし、撤退条件だけは参加者を萎縮させたくなかったため、グランドルールには記載しませんでした。その代わり、月に1回程度参加者にフィードバックのアンケートをお願いし、その結果や開催ごとの参加者数の推移などを確認して撤退するかどうかを都度検討していました。
## 目的
- 社内の属人化しやすい知見・ノウハウを共有したい
- 特定の人しか知らないツールであったり技術的な背景があったりするので、そのあたりを軽めに共有する場を作りたい
- 小さくアウトプットの機会を増やす
- 人前で発表するのには慣れが必要なので、社内で小さくアウトプットする場を作りたい
- 社内で開発に関連する話題でワイワイしたい
- 技術的な話に関わらず、開発プロセスとかチーム運用の話などでも全然良い
- 社内にどういった人がいるのかをわかるようにしたい
- 学ぶことの習慣化
- 10分勉強会をフックにして普段から学ぶ機会を増やしたい
## 開催スケジュール
- 週1回
- 発表と質疑応答で15分くらいの想定
- 厳密に時間は区切らないが、質疑応答はなるべくやります
- 残り時間は場が温まっていたら自由にしゃべってもいい
## 発表内容
- 発表内容は基本何でも良いです
- 業務に関連していても関連していなくても良い
- 本読んだ感想でもいいし気になる開発関連のニュース紹介でも良い。ガッツリ業務に関連する話でもいい。
- 何かしらが業務につながる話だと嬉しいですが、特に制限はありません。
- 発表資料は準備してもしなくても問題ありません
- 何かの画面を見せながらみたいなやり方でも良い
- ただ、何について話すかだけは記録しておきたいのでタイトルと発表内容を事前に書く
- なるべく準備の負荷はゼロに近づけたい
- 社外登壇する際の練習の場にしてもいいですし、モブプロ・ペアプロをしても良いです。
## 参加者のルール
- 聞くだけだと発表する側がしんどいので、何かしらのリアクションはしましょう!
- 発表側として聴衆の反応を伺いながらのほうがやりやすいので、可能であればカメラをオンにしてください
- カメラオンが厳しそうならGoogle Meetでリアクションをお願いします
- 発表者に対するネガティブな反応(非難・批判)は禁止です
- 業務が忙しくて担当が難しい場合はどなたかに相談してください。いなさそうであればskipにするかネタがありそうなら希望者募ってやりましょう
加えて、参加者が発言しやすくリアクションしやすい環境を作りたかったため、開始時にSlackにスレッドを立て、そこに都度発言やリアクションをしてもらうようにしていました。疑問に思ったことや気になったことだけでなく、それぞれの意見も書いていただき、それを元に発表者と議論したり、書いていただいた方にそのまま話してもらったりしていました。
実際に1か月やってみて
参加者からの評判自体は大変良かったのですが、「10分勉強会という名前が堅苦しい」「ちゃんとしたことを言わないといけないのでは?」というご意見がありました。「勉強会」というワードにハードルを感じる方がいらっしゃるとのことだったので、「より気軽にしゃべれるように」と、偏愛を語る会というサブタイトルをつけました。

これはSHARPさんのnoteに影響を受けています。「一人称で語られる記事は特におもしろい」という言葉があり、勉強会参加者がが自分のことをしゃべりやすいようにという意味合いで参加者の方々と相談してきめました(これはこれでしゃべりづらいという話も後々ありましたが笑)。
さまざまな企業のnoteを読む中で「一人称で語られる記事は特に面白い」という点で意見が一致し、SHARP公式noteの記事も一人称をベースに制作することになりました。

その中で、好きなPodcastを紹介する方や、料理のことを話してくださる方など、バラエティ豊かな発表になっていきました。それもあってか、開催当初に参加してくださっていた方々以外の方も参加するようになっていました。

10分勉強会の撤退
途中、週2回になったり週1回になったりしながらも半年ほど続きました。参加者全員が一巡したため、今後について考えようとアンケートを実施しました。
「関わりのなかった方の人となりを知る機会になってありがたい」「こういう方もいたのだと知れた」など、評判自体は良かったです。しかし、もともとの目的であった知見の共有や学びの機会提供を果たせていないというご意見もいただきました。

また、実は社内にはLT大会という月次の社内勉強会があります。10分勉強会もLT大会も内容が比較的自由で、参加者視点では役割が被っているため、棲み分けを考えて運用したほうがいいといったご意見もいただきました。
いただいたフィードバックと合わせて、当初の目的と照らし合わせてみた結果
- 知見・ノウハウの共有
- 知見の共有ではなく、参加者同士の人となりを知る場になっていた。それ自体にも価値はあるが当初の目的からは外れている。
- 小さくアウトプットする機会の提供
- 練ったものではなく個人の話にフォーカスするようになったので、自然と小さいアウトプットを促進することはできていた
- 技術的にワイワイしたい
- 技術的な話もあまり出ることはなく、技術的なことを期待して参加していた方々が参加する理由をなくしてしまった。
- 学ぶことの習慣化
- あくまで個人の話になってしまったことで、「学び」とはほぼ無関係になってしまった。
評判自体は良くとも、当初の目的とは大きくずれた状態になっていました。そこで、改めて勉強会自体の設計をし直し、立て直しを図るために10分勉強会を閉じることにしました。
しちょしちょ会
感じていた課題
10分勉強会の終わりごろのことです。社内で技術に関連することを自由に会話する機会が少ないと感じており、そういった会話を生み出すにはどうしたらいいかを考えていました。そんな中で以下の記事を拝見しました。
勉強会やカンファレンスの動画は、自分でも時間があるときに見ていたのですが、私自身以下と同様の悩みを持っていました。
自分ひとりでみるのも楽しいのですが、どうしても「どう思った?」「ちゃんと理解できている?」「派生してこの話をしたい」などという感情は消化しきれないことが多いです。
この悩み自体を解決しつつ、カンファレンス動画を他の方と一緒に見ることで技術的な会話のきっかけにできるのではないかと考えました。記事を拝見したタイミングで参加者を募集したところ、4名ほど集まっていただけたので、そのまま始めることにしました。

運用は記事の内容とほぼ同様で、以下のような形にしていました。
- 週に1回、参加は任意で1時間の開催
- Google Meetで動画を流し、Slackで実況スレッドを立てる
- 動画を見た後に感想や動画から得られた学びをしゃべる
参加者の方が、見たい動画をみんなで書いていくスプレッドシートを作成してくださり、空き時間に各自でスプレッドシートに記載していき動画を見終わった後に次回見る動画をなんとなく決めるという流れにしていました。
実際にやってみた結果
開始当初はうまく回っていたのですが、以下のような課題が発生しました。
- 徐々に見たい動画を挙げてくれる方が少なくなっていった
- 「これを見たい」ではなく「これでいいか」で決まる回が増えていた
それぞれ少し深掘りします。
徐々に見たい動画を挙げてくれる方が少なくなっていった
それぞれが「カンファレンス動画を見たい」という状態からスタートしていたわけではありませんでした。また、見たい人は見たいタイミングで見ていることもあり、参加者全員で見る動画を探すことが難しくなっていました。
加えて、次に見る動画をみんなで選ぶ際に「これ、みんな興味ありますか?」と質問して全会一致で決めていました。その結果、全員が見たくなるような動画を挙げる必要が生じ、提案のハードルが上がってしまったのではないかと考えています。
「これを見たい」ではなく「これでいいか」で決まる回が増えていた
全会一致で見る動画を決めるようになっていた弊害です。当然、全員の関心に合致しない動画を選ぶこともありました。そうなると実況スレッドが盛り上がらず、終わった後の会話も盛り上がらず、学びが得られないことが多くなっていました。
さらに、任意参加が前提だったはずが、開催時は必須参加のような状態になり始めており、全員にとって関心の高い動画ではない場合に会話がうまれにくい状態になっていました
継続することを目指して方針転換
このまま継続しても得られるものがないと判断し、「より緩く、継続できること」を意識して以下のように方針転換しました。
- 見たい動画がない状態で開催しても意味がないので、誰も挙げない場合は開催しない
- 参加は完全任意で不参加連絡も不要
この方針転換自体は1か月ほど前に行ったばかりなので、まだフィードバックは受けていません。しかし、開催側としては非常にやりやすくなりました。続けるために毎週全員に「見たい動画はありますか?」「これ見ませんか?」と問いかけて無理に人を集める状態になっていたのがよくなかったのだと今は思います。
参考にさせていただいた方の記事の「続けるコツ」の部分が、まさに今はその通りだと思います。
あとはわりとカジュアル・ゆるめな気持ちで続けましょう。 継続のために「頑張らない」。気合い入れすぎないのが大事です。
社内勉強会を企画・実施してみての振り返り
1年間で複数の社内勉強会をやってみて、当初の目的を維持すること、継続し続けることの難しさを感じています。輪読会やもくもく会、単発の勉強会などを別で企画・開催を行うこともあったのですが、そちらとは違う難しさがありました。
以下は個人的な学びのまとめです。
1. 参加ハードルを下げることは、目的達成とのトレードオフを生む可能性がある
10分勉強会では「話しやすいように」したことで参加しやすくなりましたが、結果として当初の目的から離れていきました。しちょしちょ会でも「全員が納得する動画を選ぶ」ことを重視した結果、動画を提案するハードルが上がってしまいました。ハードルを下げること自体は悪いことではありません。しかし、下げることで目的に対してどういった影響が出るかは想定しておく必要があったと感じています。
そこで目的達成に対して参加ハードル自体を下げること自体がネガティブな要因になりうるのであればハードルを下げないという判断も一つの選択としてあったのかと思います(どちらがよいかは場合によるとは思いますが)
2. 勉強会の継続のためには「頑張らない」設計が必要
しちょしちょ会の方針転換で実感したことですが、運営側が無理をして場を維持しようとすると長続きしません(参加者も運営している側もしんどい)。「参加者が来なければ開催しない」「不参加連絡も不要」といった割り切りが結果として継続につながっています。「勉強会を始める」と意気込むと気合が入りがちですが、その気合を前提にした設計にしてしまうとどこかで破綻する可能性が出てくるのだと思います。
3. 評判の良さと目的達成は必ずしも一致しない
まったく意識していない部分で評判が良かったのですが、当初の目的とは大きくずれる結果になっていました。参加者の満足と、自分がやりたかったことが実現できているかは別の話です。目的と照らし合わせて立ち止まり、振り返ることが大事です。
もっとも、参加者のアンケートから新たな目的を見出すことも一つの方向ではあったと思います。柔軟に切り替えることも大切だと感じました。
おわりに
雑多ではありますが、自分で開催していた社内勉強会の振り返りを書いてみました。
勉強会の企画・運営は試行錯誤の連続でしたが、その過程で得られた学びは大きかったと感じています。これから社内勉強会を企画していこうと考えている方々の一助になれば幸いです。
さて、SEN Advent Calendar 2025 11日目となる明日はデータアナリストのSAWAさんです。どうぞお楽しみに。
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