こんにちは! 千株式会社 システム開発部のおはぎ(@ohagi_dev)です。
今年もアドベントカレンダーの季節がやってきました。 SEN Advent Calendar 2025 は昨年に続き、今年で2年目の開催になります 🎉
そして今年は、トップバッターを私おはぎが務めさせていただきます🙋♂️

- デイリースクラムの15分でチームはどのように変わるか
- スクラムマスターが黙ったら、チームの対話が動き出した
- デイリースクラムが変わっていくまでの3つの工夫
- メンバー同士が自然に称賛し合うチームへ
- 「進捗報告の時間」から「チームで場をつくる時間」へ
デイリースクラムの15分でチームはどのように変わるか
私が所属するチームでは、開発手法としてスクラムを採用しています。
プロダクトマネージャー(以下、PdM)がチームに参画したことをきっかけにスクラム導入が進み、その後、スクラムマスターの役割を私が引き継ぎました。 導入から約1年半の活動を通じて、私はチームが少しずつ、しかし着実に変化してきたと感じています。
本記事では、デイリースクラムにおけるスクラムマスターの振る舞いを変えることで、チームがどのように変化していったのかをお伝えします。
デイリースクラムは「たかが15分」のイベントかもしれませんが、チームの状態を検査し、次の一歩を整える「されど重要な15分」でもあります。 チーム内での連携や対話に課題感を持っている方の一助になれば幸いです。
スクラムマスターが黙ったら、チームの対話が動き出した
とある日のデイリースクラムがあまりに良くて、思わずチームにメッセージを送ったことがありました。

そのとき、開発者同士が主体的に対話を進めていたことに強く感動しました。 ユーザー体験やスプリントゴールとの関係を軸に議論しながら、「どう協力して前に進めるか」をチームとして考えていたのです。 スクラムマスターである私はというと、ただ笑顔でうなずきながら、その様子を見守っているだけでした。
デイリースクラムが変わっていくまでの3つの工夫
もちろん、これは最初からできていたわけではありません。 ここに至るまでには、デイリースクラムの進行や問いかけの仕方を少しずつ変え、試行錯誤を重ねてきました。
以前のデイリースクラム、もとい朝会では、いわゆる「進捗報告の場」になってしまうことが多くありました。 各自が自分の作業内容を淡々と報告し、それに対してプロダクトオーナー役のPdMやスクラムマスターの私が問いかけをする、という構造です。 結果として、開発者同士の対話が十分に生まれていない状態でした。
その状況を変えたいと考え、まずは「進行役」をスクラムマスターから開発者へと移しました。 デイリースクラムを、開発者が中心となって回すようにしたのです。とはいえ、進行役を変えただけで、すぐに対話が深まるわけではありません。
そこで、いくつかのアプローチを通じて少しずつ改善を図っていきました。
あなたの作業ではなくチームとスプリントゴールを問う
最初に取り組んだのは、問いの立て方を変えることでした。
それまでは、私自身も含めて「状況どうですか?」のような、ふわっとした問いを投げてしまうことが多くありました。 そこで、「(あなた個人のタスクではなく)スプリントゴールに向けたチーム全体の状況はどうですか?」という問い方に意識的に変えてみました。
この問い方にすると、自分の作業状況だけを答えるわけにはいきません。 自然と「他のメンバーのタスクはどうなっているか」「チームとしてどこにボトルネックがあるか」といった観点に目を向けるようになります。
その結果、チーム全体の状態を把握しようとする意識が、少しずつメンバーに浸透していったように感じています。
デイリースクラムの進行パターンを揺らしてみる
次に意識したのは、デイリースクラムの進行パターンを固定しないことです。
例えば、チームとしての認識や感触を確かめる場面では、私たちは「ファイブフィンガー(fist of five*1)」という手法を活用しています。 参加者が一斉に、1〜5の指の本数で賛同度合いを示すものです。 「このままの調子で進めたとき、スプリントゴールを達成できそうか?」といった問いに対し、自信があれば5、懸念はあるが解決できる見込みがあれば4、といった具合に意思表示をします。
この手法を用いることで、チーム内の認識の違いを定量的に把握しやすくなりました。 一方で、数値の裏側を聞いてみると「そもそも状況がよく見えていないので不安」「情報が足りないので低めに出している」といった声もあり、指を出すだけでは形骸化する懸念を感じていました。
そこで、その日の問いや状況に合わせて、
- 数値の理由を一人ずつ深掘りする(それぞれがどこに不安や引っかかりを感じているのかを全員で捉える)
- ファイブフィンガーの前にバックログを一通り眺めてから話し始める(「情報が足りないから不安」という状態を減らす)
- 反対に、あえて先にファイブフィンガーで今の感触を出してもらい、その後に理由を聞いていく(数値の差をきっかけに、どんな情報や前提が足りていないかを一緒に探る)
といった形で、進行パターンを毎回少しずつ変えながら、対話の生まれやすい形を模索していきました。
あえて口を出さず、場をメンバーに委ねるという選択
そして、あるタイミングからは、あえてスクラムマスターが黙ることにしました。
というのも、振り返ってみると、私からの問いは「私が知りたいこと」を満たすためのものになってしまっていることが多かったからです。 私の理想や気になっているポイントを中心に問いかけをすると、どうしても私の視点が場を支配しがちになります。 その結果、本来は開発者同士が話し合えるはずの時間と余白を、私が奪ってしまっていることに気づきました。
- 「私の目線で、スプリントゴールにもっとフォーカスしてほしい」
- 「私は、ここが気になっている」
こうした思いがゼロになったわけではありません。 ただ、短期的に"私が"もっと話してほしいと感じるテーマがあったとしても、それを優先して口を挟むのではなく、開発者自身が「いま知りたいこと・確認したいこと」を中心に話せるようにすることを選びました。
メンバー同士が自然に称賛し合うチームへ
こうしてデイリースクラムの場が少しずつ変わっていく中で、その変化は、あるスプリントレビューの場面で、はっきりと目に見える形になりました。
今日はスプリントレビューで「これは喜んでもらえそうだね!」とポジティブな反応があった。
— おはぎ (@ohagi_dev) October 23, 2025
それ自体も嬉しかったけど、
「これ○○さんがアイデア出してくれたんですよ〜」
「実装してくれたのは△△さんで」
「でもサッと叩き台作ってくれたのは□□さんで」
と互いに称賛し合ってるのが尚良かった
レビューの場で、開発チームが改善した内容に対して社内の関係者からポジティブな反応をもらえたこと自体、とても嬉しい出来事でした。 しかし、それ以上に印象的だったのは、メンバー同士が自分だけの成果ではなく互いの貢献として受け取り合い、自然に感謝を伝え合っていたことです。
- アイデアを出した人
- 最初の叩き台を作った人
- 実装を完了させた人
- 裏側で調整や検証を支えていた人
スプリントレビューに至るまでのプロセスで、チームメンバー全員が何かしらの形で貢献していました。 そして、その貢献をチーム全員が把握しており、互いの働きを自然に称え合いながら、「誰か一人の成果」ではなく「チームとして価値を生み出した」という実感を持てていたのです。
このような状態が生まれた大きな要因のひとつが、日々のデイリースクラムです。
デイリースクラムを通じて、お互いの作業状況や困りごとをタイムリーに共有し合うことができたからこそ、「誰がどの部分を支え、どんな工夫や貢献があったか」をチーム全員が自然と認識できていたように思います。
その積み重ねが、スプリントレビューの場での自然な称賛や「みんなで作り上げた」という一体感につながったのだと感じています。
「進捗報告の時間」から「チームで場をつくる時間」へ
デイリースクラムでスクラムマスターが黙るというのは一見すると「何もしていない」ようにも見えます。 しかし実際には、問いの立て方や進行の仕方を整えたうえで、一歩引いて場をメンバーに委ねることで、チームが自分たちのための対話を取り戻すことにつながりました。
もし、ご自身のチームでもデイリースクラムが「進捗報告の時間」にとどまっている感覚があるなら、
- 問いの主語を「あなたの作業」から「チームとスプリントゴール」に変えてみる
- 進行役や進行パターンを、あえて揺らしてみる
- スクラムマスターが「黙って見守る時間」を意識的に増やしてみる
といった小さな一歩から始めてみるのも良いかもしれません。
誰か一人が場を回すのではなく、チーム全員で場をつくっていくデイリースクラムになっていくきっかけになれば嬉しいです。
さて、SEN Advent Calendar 2025 2日目となる明日は youmjww(@youmjww) さん! NewRelic導入で苦労した話をお届けします。お楽しみに♪
千株式会社では共に幼保業界や写真業界のDXを進めていく仲間を募集しています!
*1:fist of five の参考: 合意を形成する5つの方法 | Scrum.org