
はじめに
こんにちは、千株式会社ビジネス開発グループのしまゆです。 弊社では唯一札幌からリモートワークをしています。
先日、OSC Hokkaido 2025に参加してきました。 オフラインでのイベント参加は実に3年ぶりくらいで、久々に会場の熱気を感じることができました。
オープンソースカンファレンスとは
オープンソースカンファレンス(OSC)は、オープンソースの今を伝えるイベントです。 東京だけでなく、北は北海道、南は沖縄まで、年間を通じて全国各地で開催しています。
今年の北海道開催は20周年という記念すべき年でした。 ハッシュタグは「#osc25do」
印象に残ったセッション
本田技研のオープンソース活用事例
個人的にクルマが好きなので今回絶対聞こうと思っていたセッションでした。
自動車業界って技術的なノウハウはクローズドなイメージがあったのですが、実際は積極的にOSSを活用してコントリビュートもされているとのことでイメージが変わりました。
セッションの中にも「ワイガヤ」や「A00」という話があり、工業分野から学べることはたくさんあるなと改めて感じました。
ワイガヤ
「ワイガヤ」とは、「夢」や「仕事のあるべき姿」などについて、年齢や職位にとらわれずワイワイガヤガヤと腹を割って議論するHonda独自の文化です
A00
Hondaでプロジェクトが走り出すときに、一番はじめに議論されるもの。「これは、どんな世界を実現するための仕事なのか」最後まで絶対にぶれないための指針、コンセプトといってもいいかもしれません
オープンソース活用の例では、自動車業界ならではの厳しい対応も垣間見ることができました。
- ソフトウェア的には疎結合にした方が開発は楽だが、カーナビUIとして作るときは操作性などを考慮するとある程度結合している方がいいこともある
- それぞれ異なるライフサイクルのOSSを組み合わせる場合、追随するのが困難になるのでそのラインの見極めに苦心している
- ASILにも関わるため、SBOM (Software Bill of Materials)でしっかりとライセンスやライフサイクルなどを管理している
- エーシル:Automotive Safety Integrity Level)、自動車の安全性要求レベルを指すもの
- オープンソースを使うことで解決する問題が多くあるので適切に利用していて、OSSの貢献活動もしている
- 世界中の自動車会社がコントリビュートしている
自動車業界でもコントリビュートできないということは、その機能の主導権を相手に渡すことになるかもしれないですね。
私が高専機械科を卒業した頃とはだいぶ様相が異なり、自動車業界も大きな変化が起こっていることがわかりました。
CircleCIのAI時代への対応
CircleCIのセッションでは、AI時代における新しいアプローチについて聞くことができました。
AI時代に入り、これまでよりもさらに多くのコードが生成されるようになった今、それを効率的に処理する必要があるという課題に対して、AIアシスタントとCI/CDを直接連携させるという解決策を提示されていました。
簡単にCircleCIの使い方の説明と、CircleCI公式MCPサーバー使用例の実演をみることができました。
ビルドエラーなどに対して、Cursorから自然言語で原因調査依頼や解決策の提案を指示すると的確に返してくれていて、個人開発などで利用する場合でインフラにあまり詳しくない時でもMCPサーバーのサポートを受けながら利用することができそうでした。
弊社でもCursorやMCPサーバーを始めとしたAIの活用を進めていますので、実例に触れることができてよい経験でした。
おわりに
久々のオフラインイベント参加で、改めて技術コミュニティの素晴らしさを感じることができて刺激になりました。
個人的な課題としては、もう少し登壇者の方や展示ブースの方とコミュニケーションできたらもっとよかったですね。
札幌や札幌近郊で行われるイベントにも少しずつ参加していきたいと思いますので、もし遭遇したらよろしくお願いします。